彼女は世界から弾き出されたので消えました
終わり。

私一人ここにいる。
私一人でここにいる。
誰も知らない場所に
私一人で。

屋上が立入禁止区域なのを知らない生徒は唯の一人もいない。私だってしかり。
けど、
毎日そこに昇る。
天に近いその場所に。
夢を見ながら。
扉を開ける。

-----今日で終わりだ。
卒業してしまうから。
今日で全てが終わる。
この場所ともお別れ。
私一人の秘密とも、今日で……


ひゅうひゅうと風切る音を聞きながら、トンッと立ち上がる。
目的地はただただ下。

さ
よ
な
ら

ダンッ! 踏み出して一歩。踏み出した一歩。

落下……しない!?
「死にたがりだよ。姉様」
「そうだね。兄様」
ぎょっとした。私をささえる二つの黒。二人の……顔も身長も声も同じだ……子
供だ。真ん中だけ伸ばしてあり、あとはバラバラに切られた前髪に、髪同様漆黒
の虚ろな目。息を飲む程白い肌。


------手に持った大きな鎌


「……兄様。この方は」
「そうだね。姉様」

なんだこの子達は?! 私を軽々支えて……! それにあの鎌! やだ……手が震
えて……

「姉様。気付いてないね。この方」
「そうだね。兄様」

訳がわからない会話。何に私が気付いてないって?

「あっあなた達はなっ何よ! もしかして死にが」
「「違います」」
「前にも同じ事を言われた方がいましたね。姉様」
「そうだね。兄様」
二人でそう言いながら、ヒュンヒュンと鎌を振った。あんなに大きな鎌なのに。
「……何に私が気がついてないの……?」
「「言ってもいいの?」」
あっぁだ……



「「貴女もう死んでるよ」」



め……。

「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うのぉぉおっ!」
「気がついていたのにね。姉様」
「そうだね。兄様」
「気がつかないフリを続けていたんだね。兄様」
「そうだね。姉様」

あぁ。そうか。だから私の声は届かない。

「この子には与えよう」
「マスターには内緒だよ」


「「貴女に満足を与えます」」
「僕達は世界の縮小図」
「兄様が悲しめば僕は喜び」
「姉様が悲しめば僕は喜び」
「「殴り愛、殺し愛、時に傷つけ時に傷つき。悩み苦しみ楽しみ笑い、貴方の為
に涙を流し、貴女の為に涙を枯らし、泣き叫び狂い惑い、騙し騙され同じ道を歩
く」」


「「貴方に大切な物は在りますか?」」


と。手にふさっと何かが乗った。……紙?

あっ……

「卒業証書……」

私は卒業出来なかった。だからここにずっと居たのだ。

「ありが……とっ」
「「いえ構わないですよ」」

そして双子は消えた。

「「内緒内緒のお話です」」

終わらない終わらせない